ネオ・オタ漫画 海月姫@東村アキコに見るオタクの進化
たびたびこのブログでも「今一番勢いのある漫画家は東村アキコだ!」と言っていましたが、レビューは書いてなかったので久しぶりに投稿。
海月姫(くらげひめ)は、いわゆるオタク・腐女子と一番遠い存在であるオシャレな人々との交流漫画です。
・・・かなり乱暴な言い方かな。
クラゲが大好きな主人公・月海と、ストリートもメゾンもなんでも着こなすハイパーオシャレクリエイターの女装男子・蔵之介が中心となって、オタク女子(作中では尼〜ずと呼ばれる)を巻き込みファッションブランドを立ち上げるというストーリー。
この漫画、すごいのが少女漫画の鉄板
・地味な女の子にかっこいい男の子が惹かれていく
これがベースなのに、キャラ設定の盛りがハンパない。ディティールが細かすぎる!
・枯れ専の女子
・歴史オタク
・人形(ブライスとか)オタク
・完全に外に出ない引きこもりの主様 その他
女子キャラの設定が濃すぎる。東村さん曰く「周りの女性がこんなんばっか」ということなので、すくなからず投影しているのだろう。
またこの話、矢沢あい(NANA、ご近所物語など)の漫画にみられるクリエイター系に憧れる女子の心もグッと掴むからすごい。いや、むしろその辺の方が読んでいるかも。設定の中で惹かれるのは
・アトリエがある(天水館)
・業者とのやりとりなどちょっぴり業界に触れた気分になる
・ショーなどみんなでひとつのものを作り上げる楽しさ
こんな感じ。これって古くは少女漫画界の巨匠・くらもちふさこ大先生が持ってきた空気感な気がするけど、大成させたのは矢沢あいでしょうか。ご近所物語もそうだけどパラダイスキスもファッションが大好きな学生たちがアトリエに集まりますよね。でも矢沢漫画はカワイイ女子とカッコイイ女子が主人公。どっちもイケてるんです。海月姫は究極にイケてない女子とイケてる男子の物語。きっかけはクラゲ。オタクとオシャレとラブロマンス。こんなに設定盛り盛りなのに、話としてすっきりしているのは柱(多分、サクセスストーリー)がしっかりとあるからなんです。この絶妙なバランス感覚が海月姫が「ネオ☆オタ」と呼ばれる所以でしょう。
10年前まではオタクって本当に閉じられた世界だったけど、今のオタクはきちんとしたアイデンティティーをもって主張する場所(コミケやレーヤーのフェス、インターネットなど)もあるから、本当に変わったよね。むしろ私としては今「俺、○○オタクでー」とか言う人に本当にそうなのか、オタク度合いを問い正したい! オタクも自分の価値を人に知らしめる一つの言葉に進化したんだなぁ。
私はオタクッ気はありますが、それは多分気質的なものであって決して知識面ではオタクではない。いや、オタクなんて名乗れません。
10代の頃から父と「オタクってすごいよね」と語り合っていました。そんな父は2chが大好きで「彼らは中々的を得た発言をしている」と評価が高い。なので、私の中でオタクって敷居が高いんだよねー。
という訳で、海月姫はスピーディーなセリフまわしと上手な絵(ほんとに上手いと思う)と、独特のキャラ設定で東村ワールド炸裂です!男女問わず面白いと思いますので、激オススメ!
オススメ度:★★★★★
・同じく東村アキコさんの「主に泣いています」は4巻目くらいで飽きちゃったなぁ。なんでだろ?
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