魚喃キリコ（なななんきりこ）さんは、絵の「線」が特徴的です。人物は描きこみ過ぎずアッサリ。だけど背景の描写や脱ぎ捨てられたコンバースなどの表現はとても細かい。引き算の上手な作家さんだなーと思います。

魚喃作品は名作が多いのですが、その中でもストロベリーショートケイクスは「女」が詰まっています。ザ・女。

4名の登場人物がいるので、どれかには自分を投影してしまうでしょう。塔子・ちひろ・秋代・里子。それぞれの不安や悩み、恋愛が描写されています。一番いそうなのは「ちひろ」でしょうか。いかにも女子から反感をかいそうなキャラクターですが、きっとあなたの隣にもいます。

適度に可愛くて、彼氏もいて、愛想がよくて、事務職で。程よく満たされているように見えるけど自分の存在価値がわからなくて、他人と自分を比べて落ち込んだり、やけになったり。

重っ・・・　と思いますが自分の中にもきっと「ちひろ的」要素があるんでしょうね。ひがみ・ねたみ、、、と欲望丸出しな感じです。

塔子はフリーランスで売れっ子イラストレーター。男に振られたり仕事へのプレッシャーだったりで、過食症（吐く方）になってしまいます。魚喃さんがモデルなのかしら？強いようで脆い女性像。仕事が出来る女性はこんなタイプ多いかもしれませんね。

秋代は一人の男を一途に思い続ける。告白するわけでもなく「友だちヅラ」して付き合っている感じがリアル。あるある、こういうの。友だちヅラの方が決定的にならないからラクなんだけど、だんだん追い詰められるのよねー。って昼ドラ見てる主婦のようなコメントですが、秋代は結構昼ドラ色強いですね。ペットのヒョロリが死ぬときは、私も号泣です。

さて、最後の里子ですが意外と一番いなさそうなタイプ。飄々として焦りや不安を抱えているけどホッとします。魚喃さんも行き詰った3名の女性のストーリーの箸休め的な感じで登場させていないか？
このマンガにはなくてはならないキャラクターです。居酒屋で女子トークが楽しそう。

この作品は全体的に重いので苦手な方は苦手。好き嫌いの分かれる作品だと思います。湿っぽいの好き！という方は楽しめると思います。絵柄は男女問わないと思いますよ。

魚喃キリコさんの作品はほとんど全て持っていますが、このストロベリーショートケイクスを超えるエモい作品は「南瓜とマヨネーズ」です。これは結婚とか考える前にまず読んで欲しい！読んで！！！笑



オススメ度：★★★★☆

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